サムスンディスプレイ、6月にアップル初の折りたたみ製品向けOLEDを量産開始へ UTGはレンズ・テクノロジーが供給


日付:2026年4月13日

出典:WitDisplay

 

4月13日、サムスンディスプレイは、アップル初の折りたたみ製品に採用されるOLEDパネルの量産を6月下旬に開始する計画を確認した。折りたたみOLEDパネルの出荷は7月から始まる見通しで、アップルのフォルダブル端末投入に向けたサプライチェーン準備がいよいよ本格段階に入った。アップルの折りたたみ製品は2026年9月ごろに発表されるとの見方が業界内で広がっており、今回の量産スケジュールはその観測を裏づける材料として注目されている。

 

アップル初の折りたたみ製品、7.5インチ主画面で立ち上がる量産体制

報道によると、アップルの折りたたみ製品のメイン画面サイズは7.5インチとなる見込みで、サムスン電子が現在開発を進めている8インチの折りたたみスマートフォンよりやや小さい仕様になる。なお、サムスン電子が前年に発表したGalaxy Z Fold 7の画面サイズも8.0インチだったとされる。こうしたサイズ設定からは、アップルが初代モデルで携帯性と大画面体験のバランスを重視している可能性が読み取れる。

 

サムスンディスプレイは、2026年末までにアップル向け折りたたみパネルを800万枚から900万枚生産する計画とされる。この生産量は最終製品ベースで700万台から800万台程度に相当する。通常、パネルの出荷枚数は完成品数量を上回る。これは最終組立工程で歩留まりを考慮する必要があるためであり、ディスプレイ業界では一般的な前提となっている。業界関係者の一人は、当初見込まれていた6月のアップル向けフォルダブルパネル納入開始に比べると、実際の納入計画はやや後ろ倒しになったと評価した。ただし、6月の計画生産量は約50万枚にとどまるため、全体スケジュールへの影響は大きくないとも説明している。

 

カギを握るヒンジとUTG、アップル折りたたみ製品の部材仕様が焦点に

今後の変数として注目されているのは、一部部材の仕様と量産安定性である。折りたたみ製品は一般的なストレート型スマートフォンと異なり、パネルを折り曲げて開閉するためのヒンジを必要とする。また、パネルを外部衝撃から保護するためにUTG(超薄型ガラス)カバーが使われ、その上下には複数の保護フィルムが貼り合わされる。つまり、折りたたみ製品はディスプレイそのものだけでなく、機構部品、保護材料、積層工程まで含めた総合的な完成度が求められる製品である。

 

報道では、ヒンジの量産を担当している米国のアンフェノール(Amphenol)の技術が現時点でまだ十分に安定していないと伝えられている。このヒンジ課題がいつ解決されるかによって、完成品としての折りたたみ製品だけでなく、サムスンディスプレイによるパネル生産スケジュールにも影響が及ぶ可能性がある。アップルの折りたたみ製品は、見た目の薄さや高級感だけでなく、繰り返し開閉に耐える耐久性が極めて重要になるため、ヒンジ性能は製品競争力を左右する中核要素といえる。

 

UTGカバーについては、レンズ・テクノロジーがアップルへの一次サプライヤーとして供給を担う。これに対し、中国のUTIはUTGカバーウィンドウ分野で二次サプライヤー市場への参入を目指している。ただし、アップルの初代折りたたみ製品は今年の販売数量がそれほど大きくないとみられているため、現時点ではUTGサプライチェーンを急いで多元化する必要性は高くないと受け止められている。

 

UTIは先週公表した転換社債償還に関するプレスリリースの中で、北米顧客の「Tier 1パートナー」として下半期の量産開始に向けた準備を進めていると説明した。ここでUTIが示した「Tier 1」は、販売規模の大きい主力一次サプライヤーという意味ではなく、「一次協力パートナー」に近い位置づけを指していると解釈されている。

 

CoE採用と追加投資で対応、アップル向け折りたたみOLEDが市場出荷を押し上げる可能性

サムスンディスプレイは、アップル向け折りたたみOLEDの大量生産に対応するため、第6世代OLED生産ラインへの追加投資を進めている。アップルの折りたたみ製品にはCoE(Color Filter on Encapsulation)技術が採用される予定で、この技術は従来OLED内部で使われていた偏光板をカラーフィルターに置き換える方式である。CoEはパネルの薄型化に有利であるだけでなく、エネルギー効率の向上や色再現性の改善にも強みがあるとされる。サムスン電子の折りたたみスマートフォンでは、すでにこの技術が採用されている。

 

もしサムスンディスプレイが2026年末までにアップルの折りたたみ製品向けとして、内側用と外側用を合わせて800万枚から900万枚のOLEDパネルを量産するなら、関連するOLEDパネル総出荷量は1600万枚から1800万枚増加する可能性がある。これは単にアップルの新製品立ち上げにとどまらず、折りたたみOLED市場全体の規模拡大を押し上げる要因になり得る。アップルの参入は、フォルダブルディスプレイ市場の本格普及を加速させる転機として、サムスンディスプレイ、UTG供給企業、ヒンジメーカーを含む広範なサプライチェーンに大きな波及効果をもたらす可能性がある。