2026年4月9日/出典:WitDisplay
ViP技術が国際トップ水準に認定、量産出荷を正式発表
Visionoxは2026年4月9日、中国合肥で開催された技術評価会において、同社の「Visionox intelligent Pixelization(ViP)」技術が国際的に先進水準に達したと認定されたと発表した。この評価会は中国光学光電子業界協会の主導で実施され、中国科学院の院士を含む専門家による審査の結果、「国際的にリードする技術」との評価が下された。
同時にVisionoxは、ViP技術を搭載したスマートウェアラブル製品がすでに量産出荷段階に入ったことを明らかにした。これにより、ViPは研究開発段階から実際の産業応用へと移行したことになる。
精密金属マスクレス技術で有機EL製造の常識を刷新
ViP技術の最大の特徴は、従来の精密金属マスク(FMM)に依存しない精密金属マスクレス技術にある。これにより、物理的制約を受けない独立ピクセル形成と高精度パターニングが可能となり、有機ELディスプレイの性能を飛躍的に向上させる。
具体的には、ピクセル密度を最大1700ppiまで高めることが可能であり、さらにタンデム構造技術と組み合わせることで、従来のFMM方式のAMOLEDと比較して約6倍の寿命、または4倍の輝度を実現できるとされる。このような性能向上により、小型から中大型まで幅広いサイズのディスプレイ用途に対応できる。
AI技術の進展やIoTの普及に伴い、有機ELはスマートウォッチやスマートフォンからVR・AR、タブレット、ノートPC、車載用途へと急速に拡大している。ViP技術はこうした多様な用途に適応可能であり、平面から3Dディスプレイまで幅広い応用が期待されている。
第6世代ラインで量産確立、8.6世代への拡張も進展
Visionoxは第6世代ラインを基盤として、フォトリソグラフィによるピクセル形成プロセスを含む一連の量産技術を確立した。これにより、ViP技術はあらゆるサイズに対応可能な有機EL量産製造体系として完成度を高めている。
今回のブランド顧客向け量産出荷は、単なる技術実証にとどまらず、実際の市場で使用可能な製品として供給できる段階に到達したことを意味する。すなわち「製造できる技術」から「供給・実装可能な技術」への進化が実現した。
ViP技術は長年にわたる研究開発の積み重ねによって構築されてきた。2002年から関連構造の基礎開発を開始し、2023年にはViP技術を正式発表、同年末には量産試作モジュールの点灯に成功した。その後、2024年には第8.6世代AMOLEDラインの建設が開始され、2026年第1四半期には量産出荷に至るなど、段階的に産業化が進展している。
8.6世代ラインと産業化エコシステムの構築
将来の大規模量産に向けた準備も着実に進んでいる。2026年3月には合肥における第8.6世代AMOLED工場のクリーンルーム完成が発表され、現在は製造装置の搬入および調整段階に入っている。この新工場はViP技術の本格量産を支える重要拠点となる見込みである。
ウェアラブル製品での量産実績に加え、高世代ラインの構築が進むことで、ViPは「現在の実用化」と「将来の大規模展開」の両方を担う技術として位置付けられている。
専門家が高評価、今後は中大型・IT用途へ拡大へ
評価委員会の専門家は、VisionoxがViP技術に関するプロセス、構造、デバイスにわたる包括的な特許体系を構築しており、知的財産の自立性を確保している点を高く評価した。その上で、同技術は革新性と産業応用価値を兼ね備え、世界のディスプレイ技術の進化に新たな方向性を提示するものと結論付けた。
今後の課題としては、中大型ディスプレイやIT製品への適用拡大、さらにはテレビなど大画面分野への技術応用の検討が挙げられている。また、第8.6世代ラインを活用した量産体制の早期確立と、サプライチェーン全体での連携強化による産業エコシステムの構築も重要とされる。
VisionoxはViP技術を軸に、有機EL産業の高度化と次世代ディスプレイ市場の主導権獲得を目指しており、その動向は今後のグローバルディスプレイ競争に大きな影響を与えると見られている。