中国・天馬、スマートフォン向け「1万ニット」有機ELの商用化に成功


日付:2026年6月24日

出典:ET News

 

スマートフォンで初の1万ニット有機EL、輝度競争が新局面へ

中国のディスプレイパネルメーカーである天馬が、スマートフォン向けとして初めて最大輝度1万ニットの有機ELを商用化したと発表し、業界の注目を集めている。ニットは輝度を示す単位であり、1ニットはろうそく1本分の明るさに相当する。

 

2026年6月24日、天馬は公式WeChatアカウントを通じて、Honorが発売した最新スマートフォン「X80 Pro Max」に対し、最大1万ニットの輝度を持つ6.8インチ・1.5K解像度の有機ELディスプレイを供給していると明らかにした。このディスプレイには低温多結晶シリコン(LTPS)薄膜トランジスタが採用されており、DCI-P3色域を100%カバーするなど、高い色再現性能を実現している。

 

Honor X80 Pro Maxに搭載された1万ニット有機EL(写真=Honor)
Honor X80 Pro Maxに搭載された1万ニット有機EL(写真=Honor)

 

従来比3倍超の明るさ、フラッグシップ機を大きく上回る性能

一般的にフラッグシップスマートフォンに採用される有機ELの最大輝度は約3000ニット前後とされる。これと比較すると、今回の1万ニットという数値は3倍以上に相当する。実際、前年に発売されたiPhone 17 Pro Maxは最大3000ニット、2026年初頭に登場したサムスン電子のGalaxy S26 Ultraは約2600ニットであり、天馬の新ディスプレイはこれらを大きく上回る性能となる。

 

Honorはファーウェイ系企業であり、ファーウェイとHonorはいずれも有機EL発光層を2層に積層するツースタック・タンデム構造の有機ELをBOEから供給を受けて採用しているメーカーとして知られる。これらの企業は、これまでスマートフォンで商用化されてこなかった新技術の導入に積極的である点でも評価されている。今回の1万ニット有機ELは、中国企業間で進む輝度など性能競争の中で登場した記録的な数値であり、ディスプレイにおける最も基本的な画質指標の一つである「明るさ」の面で新たな基準を提示したといえる。特にスマートフォンでは屋外視認性の向上が重要であり、輝度向上は継続的な技術開発のテーマとなっている。

 

高輝度の代償としての消費電力・発熱・寿命の課題

一方で、1万ニットという極めて高い輝度の実現は、単なる性能向上の象徴的な意味合いにとどまるとの見方もある。有機ELは輝度を高めるほど消費電力が増加し、それに伴う発熱や材料劣化による寿命低下といった問題が避けられないためである。

 

業界関係者は、有機ELは輝度と消費電力、寿命がトレードオフの関係にあると指摘し、高輝度を得るためには他の性能特性を犠牲にしている可能性が高いと分析している。その一方で、中国企業が新技術や高性能化の試みを実際の製品として市場に投入している点については評価されている。ただし、このような超高輝度ディスプレイが今後広範な用途で普及するかについては不透明であり、実際の採用拡大には課題が残るとの見方が業界内では支配的である。