日付:2026年6月14日
出典:The Elec
BOE、米国防総省の指定に「根拠なし」と反発
中国最大のディスプレイメーカーであるBOEは、米国防総省が同社を「中国軍事企業」に指定したことに対し、強く反発した。
中国・深セン証券取引所によると、BOEは6月11日に自発的情報開示を行い、「米国防総省による中国軍事企業指定には正当な根拠がない」との立場を明らかにした。
BOEは「米国防総省が現地時間6月8日に発表した中国軍事企業リストに当社が含まれていることを確認した」とした上で、「BOEは中国軍事企業ではなく、中国の国防産業基盤に属する軍民融合企業でもない」と強調した。
さらに同社は、自社のディスプレイパネルがスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、モニター、テレビなどの民生用電子機器に広く採用されている点を挙げ、「軍事企業リストへの掲載は不当である」と主張した。
制裁の影響は限定的、事業は正常運営
BOEは今回の措置による影響についても限定的であると説明している。
同社は「米国の関連法規において、中国軍事企業リストに対する制限措置は米国防調達に関連する事項に限定される」とし、「他の主体が当社とビジネス取引を行うことを禁止するものではない」と述べた。
また、「現在の生産および経営状況は正常であり、すべての事業は安定的に推進されている」と付け加えた。
中国軍事企業リストに掲載された企業は、米国の国防権限法などに基づき、米国防総省および政府機関による直接調達の対象から除外される。ただし、民間企業間の取引が全面的に禁止されるわけではない。
一方で、米国政府の調達ネットワークに関係する企業においては、サプライチェーン審査の過程で当該企業との取引が検討対象となる可能性がある。また、他の米政府機関が追加制裁を検討する際の参考資料として活用される可能性もある。
ディスプレイ業界にも広がる対中規制
米国防総省は6月8日、BOEおよび天馬(ティエンマ)など中国のディスプレイ企業を中国軍事企業リストに追加した。ティエンマは中国の主要な中小型ディスプレイメーカーである。
米国がディスプレイ企業を同リストに含めたのは今回が初めてであり、これによりディスプレイ産業も米国の対中安全保障規制の対象に組み込まれた形となる。
米国防総省は、BOEについて中国工業情報化部との間接的な関連性や、中国人民解放軍との提携関係、軍民融合産業エリア内に拠点を持つ点などを根拠に、中国の国防産業基盤に貢献していると判断した。
また、ティエンマについては、中国国有資産監督管理委員会による間接保有構造や、中国の軍需産業関連機関からの支援を受けている点が指摘された。
これまで米国は通信機器、半導体、バッテリー、人工知能(AI)などの分野を中心に対中制裁を拡大してきたが、今回ディスプレイ企業が対象に加わったことで、その規制範囲はさらに広がることになった。
BOEおよびティエンマは、スマートフォン、ノートパソコン、モニター、車載ディスプレイなど、グローバルITサプライチェーンにおいて重要な役割を担っている。現時点で直ちに取引禁止措置が発動されるわけではないものの、米国政府関連事業に関与する製品においては、中国製パネルの使用に関する審査負担が大幅に増加する可能性がある。
BOEは今後について、「事態の進展を継続的に確認し、関係当事者とコミュニケーションを取っていく」とし、「会社および株主、協力企業の権益を保護し、関連規定に基づき情報開示義務を履行する」との方針を示した。