ノートブック向け有機EL市場の現状と展望


日付:2026年6月1日

出典:UBIリサーチ

 

ノートブック向け有機EL市場の現状

UBIリサーチが2026年6月1日に公表した週刊レポートによると、ノートブック向け有機EL市場は2021年から2023年までおおむね500万台規模で推移していたが、2024年以降はサムスンディスプレイの有機ELパネル出荷が急増したことで、1,000万台を超える市場へと拡大している。今回のレポートでは、ノートブック向け有機EL市場の足元の状況と中長期見通しが整理されている。

 

同レポートでは、ノートブック向け有機ELパネルの出荷量は2021年が510万台、2022年が580万台、2023年が540万台、2024年が1,030万台、2025年が1,050万台と示されている。2024年を境に市場規模が大きく跳ね上がっており、ノートブック向け有機ELが本格的な成長段階に入ったことが読み取れる。特にサムスンディスプレイは出荷量ベースで全体の80%以上を占めるとされ、現時点でも市場の中心的存在となっている。

 

生産体制を見ると、サムスンディスプレイはA2ラインでノートブック向け有機ELパネルを量産しており、2026年からはA6ラインでAppleのMacBook Pro向け有機ELパネルの量産を開始する予定だとされる。LG DisplayはE6ラインでノートブック向けタンデム有機ELパネルを量産している。BOEはB7ラインとB12ラインでノートブックおよびフォルダブルノートブック向け有機ELパネルを量産しており、さらに6月からB16ラインでもノートブック向け有機ELパネルの量産を始める予定とされている。TCL CSOTは武漢T5ラインでインクジェット印刷方式によるノートブック向け有機ELパネルを量産しており、EverDisplayは上海の第6世代ラインでノートブック向けリジッドOLEDパネルを生産している。

 

2026年以降の出荷量見通し

UBIリサーチは、2026年のノートブック向け有機ELパネル出荷量が1,300万台を超えると予測している。これまで年間約900万台規模のノートブック向け有機ELパネルを量産してきたサムスンディスプレイに、MacBook Pro向けパネルの量産が加わることで、2026年の同社のノートブック向けパネル生産は約1,100万台に達する見通しだという。Appleの採用拡大が、ノートブック向け有機EL市場の次の成長局面をけん引する重要要因として位置づけられている。

 

BOEについては、成都B16ラインで5月末からパネル量産を始め、6月には顧客企業への供給を開始する予定とされる。主要顧客にはLenovo、Asus、Acerなどが挙げられており、中国勢の供給能力拡大が今後の競争環境に影響を与える可能性が高い。TCL CSOTは武漢T5ラインで年間約50万台のノートブック向けIJP有機ELパネルを量産する計画であり、さらに2027年末からは広州T8ラインでもノートブック向けIJP有機ELパネルの量産を始める予定とされる。こうした新規供給の積み上がりにより、ノートブック向け有機ELのサプライチェーンは今後さらに多極化していくとみられる。

 

中長期見通しでは、ノートブック向け有機EL市場は2030年に約2,300万台規模へ拡大すると予測されている。企業別の出荷見通しとしては、2026年にサムスンディスプレイ1,120万台、BOE100万台、LG Display80万台、EverDisplay20万台、TCL CSOT30万台が示されている。2027年はサムスンディスプレイ1,270万台、BOE100万台、LG Display90万台、EverDisplay30万台、TCL CSOT40万台、2028年はサムスンディスプレイ1,420万台、BOE100万台、LG Display100万台、EverDisplay30万台、TCL CSOT50万台、2029年はサムスンディスプレイ1,570万台、BOE110万台、LG Display100万台、EverDisplay40万台、TCL CSOT60万台、2030年はサムスンディスプレイ1,720万台、BOE110万台、LG Display100万台、EverDisplay40万台、TCL CSOT70万台と見込まれている。市場拡大の中心は引き続きサムスンディスプレイだが、BOEやTCL CSOTなど中国メーカーの存在感も徐々に強まる構図だ。

 

また、ノートブック向け有機ELパネルのサイズ構成については、14インチが全体の約60%、16インチが約40%を占めると予測されている。これは、モバイル性を重視する標準サイズのノートブックと、高性能・高付加価値モデル向けの大型ノートブックの双方で有機EL採用が進むことを意味している。ノートブック向け有機EL市場は、プレミアムPC需要、Apple向け量産、そして中国メーカーの供給拡大を軸に、2026年以降さらに成長テンポを速める可能性が高い。今回のUBIリサーチの見通しは、ノートブック用ディスプレイ市場における有機ELの存在感が今後一段と高まることを明確に示している。